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第7回(2021年度)

受賞作品一覧

大賞

大賞

出山月惠さん (73歳/広島県)

私の姑は99才です
介護を受けながら一人住まいです
「ヤス子さーん今日も頑張れますか」というと
「頑張りますゾ」という
台所へ行く時は姑を真中に「イチニ」「イチニ」とまるで軍団の声かけです
食後には食卓がピアノがわりに君が代独唱
ある日「私一人が死んでいても誰も悪うないけんね」と、ぽつんと言った
私は年齢を重ねた姑への寂しさや切なさを感じた
姑様 
あなたの人生が幸せだったと言える様願っています
さあ!! 軍団も頑張るゾ

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選考委員からの
コメント

「軍団」というユーモラスな表現を用いつつ、孤立や孤独が論じられている現代において家族制度の良い部分が示された作品。
99歳の姑の一言は感謝の言葉でしょう。
短い文章に人生がつまっています。
共感される作品だと思います。

佳作

佳作 【五木寛之賞】

【五木寛之賞】 小泉浪士さん (74歳/長崎県)

スーパーのレジが、突然セルフ方式になり、係の女性達が一斉に消えた。
年金生活の我の唯一の楽しみは、週に一回、勝負服を着てバスで街へ買物に行くこと。
そしてレジで働く彼女達に会うこと。
言葉を交わし、時にはレシートの受渡しで指が触れ、ワクワクすることもあった。
省力化は時流なれど、友のいない独居老人には大ショック。
神様、マドンナ達の解雇を禁止する旨の「御告げ」を!

スーパーのレジが、突然セルフ方式になり、係の女性達が一斉に消えた。 年金生活の我の唯一の楽しみは、週に一回、勝負服を着てバスで街へ買物に行くこと。 そしてレジで働く彼女達に会うこと。 言葉を交わし、時にはレシートの受渡しで指が触れ、ワクワクすることもあった。 省力化は時流なれど、友のいない独居老人には大ショック。 神様、マドンナ達の解雇を禁止する旨の「御告げ」を!

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スーパーのレジが、突然セルフ方式になり、係の女性達が一斉に消えた。 年金生活の我の唯一の楽しみは、週に一回、勝負服を着てバスで街へ買物に行くこと。 そしてレジで働く彼女達に会うこと。 言葉を交わし、時にはレシートの受渡しで指が触れ、ワクワクすることもあった。 省力化は時流なれど、友のいない独居老人には大ショック。 神様、マドンナ達の解雇を禁止する旨の「御告げ」を!

選考委員からの
コメント

ショートショート、あるいはオー・ヘンリーの短編のような作品。
生活の切り取り方にセンスがあります。

佳作 【村山由佳賞】

【村山由佳賞】 大町芙美さん (74歳/埼玉県)

帰りたい。
今日も86才のHさんが訴える。
職員がどんなに心を砕いてお世話をしてもその声は次第に悲痛になる。
あなたの帰りたい場所は何処ですか?
杏の花の美しい故郷ですか?
追随してYさんも「私も帰りたい」と既にバッグを提げている。
神様
あなたにしか出来ません
それぞれの想いの場所へ
思い切り自由な時へ
どうか皆さんを運んであげて下さい。
外出許可はとります。

帰りたい。 今日も86才のHさんが訴える。 職員がどんなに心を砕いてお世話をしてもその声は次第に悲痛になる。 あなたの帰りたい場所は何処ですか? 杏の花の美しい故郷ですか? 追随してYさんも「私も帰りたい」と既にバッグを提げている。 神様 あなたにしか出来ません それぞれの想いの場所へ 思い切り自由な時へ どうか皆さんを運んであげて下さい。 外出許可はとります。

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帰りたい。 今日も86才のHさんが訴える。 職員がどんなに心を砕いてお世話をしてもその声は次第に悲痛になる。 あなたの帰りたい場所は何処ですか? 杏の花の美しい故郷ですか? 追随してYさんも「私も帰りたい」と既にバッグを提げている。 神様 あなたにしか出来ません それぞれの想いの場所へ 思い切り自由な時へ どうか皆さんを運んであげて下さい。 外出許可はとります。

選考委員からの
コメント

介護をする立場から自分にできることを模索している姿が浮かび上がります。
そして他人事ではない、という気持ちが伝わってきます。

佳作 【齋藤 孝賞】

【齋藤 孝賞】 木村レツさん (79歳/秋田県)

「富士山を近距離で見たい」
少し大袈裟に言えば、これが私の人生最後の願いだ。
私は、生まれも育ちも秋田県南部、冬は雪に閉ざされる豪雪地帯に住んで、まもなく80歳になる。
残念ながら、日本人として生を受けたのに一度も富士山の勇姿を拝んだことがない。
テレビや映画では、数えきれない程見ている富士山を身近で見てみたい。
秋田には、「秋田富士」といわれる「鳥海山」があり、朝夕ながめては「日本一高い富士山は、どの位大きいのだろう」と強く憧れている。

「富士山を近距離で見たい」 少し大袈裟に言えば、これが私の人生最後の願いだ。 私は、生まれも育ちも秋田県南部、冬は雪に閉ざされる豪雪地帯に住んで、まもなく80歳になる。 残念ながら、日本人として生を受けたのに一度も富士山の勇姿を拝んだことがない。 テレビや映画では、数えきれない程見ている富士山を身近で見てみたい。 秋田には、「秋田富士」といわれる「鳥海山」があり、朝夕ながめては「日本一高い富士山は、どの位大きいのだろう」と強く憧れている。

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「富士山を近距離で見たい」 少し大袈裟に言えば、これが私の人生最後の願いだ。 私は、生まれも育ちも秋田県南部、冬は雪に閉ざされる豪雪地帯に住んで、まもなく80歳になる。 残念ながら、日本人として生を受けたのに一度も富士山の勇姿を拝んだことがない。 テレビや映画では、数えきれない程見ている富士山を身近で見てみたい。 秋田には、「秋田富士」といわれる「鳥海山」があり、朝夕ながめては「日本一高い富士山は、どの位大きいのだろう」と強く憧れている。

選考委員からの
コメント

私は静岡出身で富士山を見て育ったので、富士山の縁で賞を贈りたいと思います。
そして、この受賞をきっかけに富士山をぜひ見てもらいたい。
雪の降らない静岡とは全く違う豪雪地帯で生きてこられた方の作品であり、逆にこの作品を読んで「秋田富士」と呼ばれる鳥海山を見たいと思いました。

佳作

神崎杏実さん (7歳/神奈川県)

妹のりーちゃんへ
りーちゃんは、一さいだけど、おりこうです。
ワークを広げると、いつもわたしより先にやってしまう。
ぐちゃぐちゃだけど。
ママに「たすけて」と言うと「サッサッとやらないからよ」とわらわれる。
りーちゃん、明日からお手つだいは、いいよ!
もうお姉ちゃん、サッサとできるからね。

妹のりーちゃんへ りーちゃんは、一さいだけど、おりこうです。 ワークを広げると、いつもわたしより先にやってしまう。 ぐちゃぐちゃだけど。 ママに「たすけて」と言うと 「サッサッとやらないからよ」とわらわれる。 りーちゃん、明日からお手つだいは、いいよ! もうお姉ちゃん、サッサとできるからね。

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妹のりーちゃんへ りーちゃんは、一さいだけど、おりこうです。 ワークを広げると、いつもわたしより先にやってしまう。 ぐちゃぐちゃだけど。 ママに「たすけて」と言うと 「サッサッとやらないからよ」とわらわれる。 りーちゃん、明日からお手つだいは、いいよ! もうお姉ちゃん、サッサとできるからね。
佳作

近藤優衣さん (17歳/愛知県)

私の願いは障がい者でも出来ることはあると世の中に知ってもらうことだ。
私は聴覚障害を持っている。
私は警察官になりたいけれど、周りの人は耳が聞こえないから無理だと言う。
そんなのやってみなきゃ分からない。
耳が聞こえない警察官がいないのなら、私が警察官になって証明してみよう。
例え、耳が聞こえなくとも障害を持っていようと人間であることに変わりはないだろう。
警察官になって全ての障がい者に夢を与えたい。

私の願いは障がい者でも出来ることはあると世の中に知ってもらうことだ。 私は聴覚障害を持っている。 私は警察官になりたいけれど、周りの人は耳が聞こえないから無理だと言う。 そんなのやってみなきゃ分からない。 耳が聞こえない警察官がいないのなら、私が警察官になって証明してみよう。 例え、耳が聞こえなくとも、障害を持っていようと、人間であることに変わりはないだろう。 警察官になって全ての障がい者に夢を与えたい。

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私の願いは障がい者でも出来ることはあると世の中に知ってもらうことだ。 私は聴覚障害を持っている。 私は警察官になりたいけれど、周りの人は耳が聞こえないから無理だと言う。 そんなのやってみなきゃ分からない。 耳が聞こえない警察官がいないのなら、私が警察官になって証明してみよう。 例え、耳が聞こえなくとも、障害を持っていようと、人間であることに変わりはないだろう。 警察官になって全ての障がい者に夢を与えたい。
佳作

中西凜太朗さん (19歳/千葉県)

初めての帰省。
今春の荷造りでも手付かずだった、勉強机の引き出しを開けた。
顔を覗かせたのは一枚の紙切れ。
これが時の流れなんだろう、僕には少し黄ばんで見えた。
差出人は中学時代の僕。
内容は、遺書だった。
思わず笑ってしまったよ。
当時はそれだけ思い詰めてたけどね。
神様! どうか教えてやってください。
未来には、その辛さも笑い飛ばせる「僕」が待ってるって。
家を出たほんの数ヶ月でも、僕はこれだけ変われたんだからさ。

初めての帰省。 今春の荷造りでも手付かずだった、勉強机の引き出しを開けた。 顔を覗かせたのは一枚の紙切れ。 これが時の流れなんだろう、僕には少し黄ばんで見えた。 差出人は中学時代の僕。 内容は、遺書だった。 思わず笑ってしまったよ。 当時はそれだけ思い詰めてたけどね。 神様! どうか教えてやってください。 未来には、その辛さも笑い飛ばせる「僕」が待ってるって。 家を出たほんの数ヶ月でも、僕はこれだけ変われたんだからさ。

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初めての帰省。 今春の荷造りでも手付かずだった、勉強机の引き出しを開けた。 顔を覗かせたのは一枚の紙切れ。 これが時の流れなんだろう、僕には少し黄ばんで見えた。 差出人は中学時代の僕。 内容は、遺書だった。 思わず笑ってしまったよ。 当時はそれだけ思い詰めてたけどね。 神様! どうか教えてやってください。 未来には、その辛さも笑い飛ばせる「僕」が待ってるって。 家を出たほんの数ヶ月でも、僕はこれだけ変われたんだからさ。
佳作

鯵坂聡子さん (38歳/福岡県)

私がマスクをすると、お出掛けできると思って喜ぶ君。
二歳を迎えた息子は、マスク=お出掛けだと思い、喜ぶんだ。
マスクのない世界をこの子は知らずに育つのか。
マスクに消毒液、この子の世界では当たり前の日常。
今はもちろん、それが日常でなければならないが。
いつかこの子が、白い歯見える笑顔に囲まれて育つ日が来ますように。
マスクのない、弾ける笑顔に囲まれて過ごす日常が訪れますように。

私がマスクをすると、お出掛けできると思って喜ぶ君。 二歳を迎えた息子は、マスク=お出掛けだと思い、喜ぶんだ。 マスクのない世界を、この子は知らずに育つのか。 マスクに消毒液、この子の世界では当たり前の日常。 今はもちろん、それが日常でなければならないが。 いつかこの子が、白い歯見える笑顔に囲まれて育つ日が来ますように。 マスクのない、弾ける笑顔に囲まれて過ごす日常が訪れますように。

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私がマスクをすると、お出掛けできると思って喜ぶ君。 二歳を迎えた息子は、マスク=お出掛けだと思い、喜ぶんだ。 マスクのない世界を、この子は知らずに育つのか。 マスクに消毒液、この子の世界では当たり前の日常。 今はもちろん、それが日常でなければならないが。 いつかこの子が、白い歯見える笑顔に囲まれて育つ日が来ますように。 マスクのない、弾ける笑顔に囲まれて過ごす日常が訪れますように。
佳作

板倉 緑さん (62歳/長野県)

ぽろっと落ちた一粒の涙を二十数年経っても忘れられない。
参観日、仕事の都合で給食参観はパスして授業参観だけ行くよと息子に言っておいた。
急いで駆けつけた時、机の上には手つかずの給食があった。
食べてないのと聞いた私の一言で息子の目から涙があふれた。
ああ私を待っていたんだ。
一口も食べずに待っていた思いが突き刺さった。
叶うなら時空を超えて小学校の教室で、小さな可愛い息子と給食をパクパク食べたい。

ぽろっと落ちた一粒の涙を二十数年経っても忘れられない。 参観日、仕事の都合で給食参観はパスして授業参観だけ行くよと息子に言っておいた。 急いで駆けつけた時、机の上には手つかずの給食があった。 食べてないのと聞いた私の一言で息子の目から涙があふれた。 ああ私を待っていたんだ。 一口も食べずに待っていた思いが突き刺さった。 叶うなら時空を超えて小学校の教室で、小さな可愛い息子と給食をパクパク食べたい。

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ぽろっと落ちた一粒の涙を二十数年経っても忘れられない。 参観日、仕事の都合で給食参観はパスして授業参観だけ行くよと息子に言っておいた。 急いで駆けつけた時、机の上には手つかずの給食があった。 食べてないのと聞いた私の一言で息子の目から涙があふれた。 ああ私を待っていたんだ。 一口も食べずに待っていた思いが突き刺さった。 叶うなら時空を超えて小学校の教室で、小さな可愛い息子と給食をパクパク食べたい。
佳作

玉置 仁さん (62歳/和歌山県)

一年を通して休む日はないが、いつ休んでもよい。
私に命じる人はなく、私が命じる人もない。
よって、全ての責任は私にあり、私以外の人への責任はない。
陽が昇れば畑に行き、午睡の後は、夕陽を眺めて鍬を置く。
財布が膨らむことはないが、失う心配もない。
汗を流せば、旨い水をたらふく飲む。
あとは、一日の終わりに、些少なりとも花麹の香を味わえますことを。

一年を通して休む日はないが、いつ休んでもよい。 私に命じる人はなく、私が命じる人もない。 よって、全ての責任は私にあり、私以外の人への責任はない。 陽が昇れば畑に行き、午睡の後は、夕陽を眺めて鍬を置く。 財布が膨らむことはないが、失う心配もない。 汗を流せば、旨い水をたらふく飲む。 あとは、一日の終わりに、些少なりとも花麹の香を味わえますことを。

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一年を通して休む日はないが、いつ休んでもよい。 私に命じる人はなく、私が命じる人もない。 よって、全ての責任は私にあり、私以外の人への責任はない。 陽が昇れば畑に行き、午睡の後は、夕陽を眺めて鍬を置く。 財布が膨らむことはないが、失う心配もない。 汗を流せば、旨い水をたらふく飲む。 あとは、一日の終わりに、些少なりとも花麹の香を味わえますことを。
佳作

野間誠二さん (71歳/奈良県)

母さんごめん、治ったら帰ろうねと言ってたけど旧い家も壊したし、桐の箪笥も入っていた着物ごと処分した。
その施設を出ても帰る所はもうないんだよ。
それと俺 医者から癌だと言われたよ。
退職もしたし自分の事で精一杯になってきた。
母さんの面倒は俺が見るよと言ってたけど、間に合わないかもしれない。
長生きしてくれっていつも言ってたのに
天国行きの順番をうまく配慮してくださいと神様にお願いするよ 悲しまないで。
まだ大丈夫だから。
息子より

母さんごめん、治ったら帰ろうねと言ってたけど旧い家も壊したし、桐の箪笥も入っていた着物ごと処分した。 その施設を出ても帰る所はもうないんだよ。 それと俺 医者から癌だと言われたよ。 退職もしたし自分の事で精一杯になってきた。 母さんの面倒は俺が見るよと言ってたけど、間に合わないかもしれない。 長生きしてくれっていつも言ってたのに 天国行きの順番をうまく配慮してくださいと神様にお願いするよ 悲しまないで。 まだ大丈夫だから。 息子より

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母さんごめん、治ったら帰ろうねと言ってたけど旧い家も壊したし、桐の箪笥も入っていた着物ごと処分した。 その施設を出ても帰る所はもうないんだよ。 それと俺 医者から癌だと言われたよ。 退職もしたし自分の事で精一杯になってきた。 母さんの面倒は俺が見るよと言ってたけど、間に合わないかもしれない。 長生きしてくれっていつも言ってたのに 天国行きの順番をうまく配慮してくださいと神様にお願いするよ 悲しまないで。 まだ大丈夫だから。 息子より

日本郵便大賞

日本郵便大賞

小幡あゆみさん (31歳/福岡県)

私の職場には、昔ホームレスだったおっちゃんがいっぱいいる。
こないだなんて、花壇のそばで座りこんでごそごそしててさ。
全くなにしてるのかと思ったら、
「せっかく綺麗に咲いとるのに、下向いてしもうとるけん」げな。
大の大人3人が、私の植えたチューリップに支柱立ててて、笑っちゃった。
私、実はね、「そんな職場危険じゃないの?」とか、よく聞かれてるんよ。
私がお礼言った時の、この照れた笑顔たちを、みんなに見せてあげられたらいいのにね。

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日本郵便大賞

川上裕右椰さん (32歳/静岡県)

一つの願いが叶った日、十カ月にわたるガン治療が終わり退院した日です。
コロナウィルスの影響で迎えは母だけ。
車に乗り込み母が一言
「見てごらん」
周りの車の中から親戚、友人が
「おめでとう!!」と手作りパネルを片手に集まってくれた。
涙がこぼれました。
車のガラス越しに見る言葉の数々
「コロナが終わったらまた旅行にいこうね」
神様、欲張りな私をゆるしてください。
お願いがあります。

一つの願いが叶った日、十カ月にわたるガン治療が終わり退院した日です。 コロナウィルスの影響で迎えは母だけ。 車に乗り込み母が一言 「見てごらん」周りの車の中から親戚、友人が 「おめでとう!!」と手作りパネルを片手に集まってくれた。 涙がこぼれました。 車のガラス越しに見る言葉の数々 「コロナが終わったらまた旅行にいこうね」 神様、欲張りな私をゆるしてください。 お願いがあります。

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一つの願いが叶った日、十カ月にわたるガン治療が終わり退院した日です。 コロナウィルスの影響で迎えは母だけ。 車に乗り込み母が一言 「見てごらん」周りの車の中から親戚、友人が 「おめでとう!!」と手作りパネルを片手に集まってくれた。 涙がこぼれました。 車のガラス越しに見る言葉の数々 「コロナが終わったらまた旅行にいこうね」 神様、欲張りな私をゆるしてください。 お願いがあります。
日本郵便大賞

大石大蔵さん (42歳/大阪府)

今晩もご飯を用意して、奥さんの帰りを待ちます。
ピンポーン。
玄関をあけると奥さんはため息をもらし、台所横に立ったまま今日の愚痴をはじめます。
いまちょっと…なんていおうものなら、大炎上。
愚痴を聞くのも主夫の仕事。
相槌を打ちながら「馬の耳に念仏」作戦で終息のときを待ちます。
あー、せっかくつくったご飯がどんどん冷めていく。
えーい辛抱たまらん!
おえらいさん方へ。
早いとこ、奥さんの働き方改革をおねげえします。

今晩もご飯を用意して、奥さんの帰りを待ちます。 ピンポーン。 玄関をあけると奥さんはため息をもらし、台所横に立ったまま今日の愚痴をはじめます。 いまちょっと……なんていおうものなら、大炎上。 愚痴を聞くのも主夫の仕事。 相槌を打ちながら「馬の耳に念仏」作戦で終息のときを待ちます。 あー、せっかくつくったご飯がどんどん冷めていく。 えーい辛抱たまらん! おえらいさん方へ。 早いとこ、奥さんの働き方改革をおねげえします。

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今晩もご飯を用意して、奥さんの帰りを待ちます。 ピンポーン。 玄関をあけると奥さんはため息をもらし、台所横に立ったまま今日の愚痴をはじめます。 いまちょっと……なんていおうものなら、大炎上。 愚痴を聞くのも主夫の仕事。 相槌を打ちながら「馬の耳に念仏」作戦で終息のときを待ちます。 あー、せっかくつくったご飯がどんどん冷めていく。 えーい辛抱たまらん! おえらいさん方へ。 早いとこ、奥さんの働き方改革をおねげえします。
日本郵便大賞

平野千歳さん (53歳/岐阜県)

神社通いにハマっている私。
8歳の娘が「私も神様に会いたい!!」と言うので、夏休みの初め、近くの神社へお参りに。
空の梢で葉っぱがゆらゆらとおじぎし、涼風が汗ばんだ首筋をす~っと通ると、「神様が来た!!」と喜ぶ娘。
発達障害を抱える娘の世界はいつだって眩しい。
じっと手を合わせ、なかなか顔を上げようとしなかった娘の願い…
その願いがどうか、どうか叶いますように。

神社通いにハマっている私。 8歳の娘が「私も神様に会いたい!!」と言うので、夏休みの初め、近くの神社へお参りに。 空の梢で葉っぱがゆらゆらとおじぎし、涼風が汗ばんだ首筋をす~っと通ると、「神様が来た!!」と喜ぶ娘。 発達障害を抱える娘の世界はいつだって眩しい。 じっと手を合わせ、なかなか顔を上げようとしなかった娘の願い… その願いがどうか、どうか叶いますように。

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神社通いにハマっている私。 8歳の娘が「私も神様に会いたい!!」と言うので、夏休みの初め、近くの神社へお参りに。 空の梢で葉っぱがゆらゆらとおじぎし、涼風が汗ばんだ首筋をす~っと通ると、「神様が来た!!」と喜ぶ娘。 発達障害を抱える娘の世界はいつだって眩しい。 じっと手を合わせ、なかなか顔を上げようとしなかった娘の願い… その願いがどうか、どうか叶いますように。
日本郵便大賞

松本治子さん (58歳/神奈川県)

葉書の好きな父の棺に、郵便葉書を一枚入れた。
「おぉい。葉書買ってきて。」
と、張りのある声でちょくちょく母に頼んでいたから。
仕事の合間に、文言を考える楽しみ。
海辺のポストへの道々、穏やかに挨拶をかわす喜び。
「先生からの葉書、捨てられんで、取っとります」
弔問の何人かが教えて下さる。
涙を堪えた眼は、出会えた感謝に満ち、キラめいている。
「何の、こちらこそ!」
父のユーモア、父の励まし。
人生を美しく織りなすこの葉書文化が、ずっとずっと続きますように。

葉書の好きな父の棺に、郵便葉書を一枚入れた。 「おぉい。葉書買ってきて。」 と、張りのある声でちょくちょく母に頼んでいたから。 仕事の合間に、文言を考える楽しみ。 海辺のポストへの道々、穏やかに挨拶をかわす喜び。 「先生からの葉書、捨てられんで、取っとります」 弔問の何人かが教えて下さる。 涙を堪えた眼は、出会えた感謝に満ち、キラめいている。 「何の、こちらこそ!」 父のユーモア、父の励まし。 人生を美しく織りなすこの葉書文化が、ずっとずっと続きますように。

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葉書の好きな父の棺に、郵便葉書を一枚入れた。 「おぉい。葉書買ってきて。」 と、張りのある声でちょくちょく母に頼んでいたから。 仕事の合間に、文言を考える楽しみ。 海辺のポストへの道々、穏やかに挨拶をかわす喜び。 「先生からの葉書、捨てられんで、取っとります」 弔問の何人かが教えて下さる。 涙を堪えた眼は、出会えた感謝に満ち、キラめいている。 「何の、こちらこそ!」 父のユーモア、父の励まし。 人生を美しく織りなすこの葉書文化が、ずっとずっと続きますように。
日本郵便大賞

小田野美由紀さん (61歳/茨城県)

ちゃぶ台の上には、大きなどんぶりに盛られた納豆。
幼い私と兄、若い父と母が囲む。
首を振る扇風機の風が私に向かった時、4人の納豆の糸が私の顔にからまった。
「わぁー」と声をあげる私。
兄が笑い声をたてる。
顔を上げた父の眼も笑っている。
母が、「あらまっ」と言う。
今は誰もいない。
あの夏の日の風に吹かれてみたい。

ちゃぶ台の上には、大きなどんぶりに盛られた納豆。 幼い私と兄、若い父と母が囲む。 首を振る扇風機の風が私に向かった時、4人の納豆の糸が私の顔にからまった。 「わぁー」と声をあげる私。 兄が笑い声をたてる。 顔を上げた父の眼も笑っている。 母が、「あらまっ」と言う。 今は誰もいない。 あの夏の日の風に吹かれてみたい。

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ちゃぶ台の上には、大きなどんぶりに盛られた納豆。 幼い私と兄、若い父と母が囲む。 首を振る扇風機の風が私に向かった時、4人の納豆の糸が私の顔にからまった。 「わぁー」と声をあげる私。 兄が笑い声をたてる。 顔を上げた父の眼も笑っている。 母が、「あらまっ」と言う。 今は誰もいない。 あの夏の日の風に吹かれてみたい。
日本郵便大賞

後藤 豊さん (62歳/大阪府)

生まれて来た孫 みなみへ
大阪では難波心斎橋界隈をミナミという。
学校を出てミナミにあった会社に就職したわしは君のおばあちゃんと出会った。
おばあちゃんは笑顔の可愛いすっぴんの19才の少女やった。
仕事が終わり帰り支度をするわしに彼女は
「お好み焼きが食べたい」と言った。
それが全ての始まりや。
40年の時は流れ命は君に受け継がれた。
「みなみ」ええ名前や
大阪一幸せな女になってくれ

生まれて来た孫 みなみへ 大阪では難波心斎橋界隈をミナミという。 学校を出てミナミにあった会社に就職したわしは君のおばあちゃんと出会った。 おばあちゃんは笑顔の可愛いすっぴんの19才の少女やった。 仕事が終わり帰り支度をするわしに彼女は 「お好み焼きが食べたい」と言った。 それが全ての始まりや。 40年の時は流れ命は君に受け継がれた。 「みなみ」ええ名前や 大阪一幸せな女になってくれ

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生まれて来た孫 みなみへ 大阪では難波心斎橋界隈をミナミという。 学校を出てミナミにあった会社に就職したわしは君のおばあちゃんと出会った。 おばあちゃんは笑顔の可愛いすっぴんの19才の少女やった。 仕事が終わり帰り支度をするわしに彼女は 「お好み焼きが食べたい」と言った。 それが全ての始まりや。 40年の時は流れ命は君に受け継がれた。 「みなみ」ええ名前や 大阪一幸せな女になってくれ
日本郵便大賞

日尾千恵子さん (73歳/京都府)

「鼻血が止まらへん。」と起きてきた朝、夫は即、入院となりました。
コロナ禍で、私は病室に入れず、詰所で着替えを渡す日々。
そんなある日、子供と孫達が鴨川の堤防に立ち、対岸の夫の病室に一生懸命手を振っています。
見ると、看護師さんに体を支えてもらって、じっとこちらを見ている夫の姿が……。
子供達と看護師さんの心配りに涙がこぼれました。
その数日後、夫は亡くなりました。
神様、ずっと会えなかった夫と肩を並べ、鴨川の流れに心を和ませる夢をみたいです。

「鼻血が止まらへん。」と起きてきた朝、夫は即、入院となりました。 コロナ禍で、私は病室に入れず、詰所で着替えを渡す日々。 そんなある日、子供と孫達が鴨川の堤防に立ち、対岸の夫の病室に一生懸命手を振っています。 見ると、看護師さんに体を支えてもらって、じっとこちらを見ている夫の姿が……。 子供達と看護師さんの心配りに涙がこぼれました。 その数日後、夫は亡くなりました。 神様、ずっと会えなかった夫と肩を並べ、鴨川の流れに心を和ませる夢をみたいです。

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「鼻血が止まらへん。」と起きてきた朝、夫は即、入院となりました。 コロナ禍で、私は病室に入れず、詰所で着替えを渡す日々。 そんなある日、子供と孫達が鴨川の堤防に立ち、対岸の夫の病室に一生懸命手を振っています。 見ると、看護師さんに体を支えてもらって、じっとこちらを見ている夫の姿が……。 子供達と看護師さんの心配りに涙がこぼれました。 その数日後、夫は亡くなりました。 神様、ずっと会えなかった夫と肩を並べ、鴨川の流れに心を和ませる夢をみたいです。
日本郵便大賞

白岩信恵さん (78歳/神奈川県)

夫の遺品の小銭入れから、四つ折りの擦り切れた葉書が出てきた。
なんと差出人は私、それも五十年以上も前の初デートで、ご馳走になったときの礼状か。
さらに葉書の表には、当時の私の職場と、実家の電話番号がメモってあった。
夫は、何でもすぐに捨ててしまうのに……。
とうの昔に役に立たないメモなんか……。
ふと末文に気付いた。
「またお会いしたいです。かしこ」と、
書いた覚えはないけれど、
この一言、もう一度夫に届けてください。

夫の遺品の小銭入れから、四つ折りの擦り切れた葉書が出てきた。 なんと差出人は私、それも五十年以上も前の初デートで、ご馳走になったときの礼状か。 さらに葉書の表には、当時の私の職場と、実家の電話番号がメモってあった。 夫は、何でもすぐに捨ててしまうのに……。 とうの昔に役に立たないメモなんか……。 ふと末文に気付いた。 「またお会いしたいです。かしこ」と、 書いた覚えはないけれど、この一言、もう一度夫に届けてください。

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夫の遺品の小銭入れから、四つ折りの擦り切れた葉書が出てきた。 なんと差出人は私、それも五十年以上も前の初デートで、ご馳走になったときの礼状か。 さらに葉書の表には、当時の私の職場と、実家の電話番号がメモってあった。 夫は、何でもすぐに捨ててしまうのに……。 とうの昔に役に立たないメモなんか……。 ふと末文に気付いた。 「またお会いしたいです。かしこ」と、 書いた覚えはないけれど、この一言、もう一度夫に届けてください。
日本郵便大賞

安田明美さん (81歳/茨城県)

「エリーゼのために」を弾きたい。
これが私の願いです。
私の幼少期の記憶の始まりは戦争。
空襲、艦砲射撃、防空壕、疎開生活、真っ暗な夜道を母に手を引かれ山林に避難した事。
そして今、東日本大震災、放射能汚染、今度のコロナ禍は當に戦争。
「ステイ・ホーム」は現代の防空壕。
傘寿を迎え新しい自分の景色を見つけたいと八十の手習いにピアノを始めました。
幼少の頃ふと耳にした美しいピアノ曲。
ピアノが楽しく弾けるように。

「エリーゼのために」を弾きたい。 これが私の願いです。 私の幼少期の記憶の始まりは戦争。 空襲、艦砲射撃、防空壕、疎開生活、真っ暗な夜道を母に手を引かれ山林に避難した事。 そして今、東日本大震災、放射能汚染、今度のコロナ禍は當に戦争。 「ステイ・ホーム」は現代の防空壕。 傘寿を迎え新しい自分の景色を見つけたいと八十の手習いにピアノを始めました。 幼少の頃ふと耳にした美しいピアノ曲。 ピアノが楽しく弾けるように。

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「エリーゼのために」を弾きたい。 これが私の願いです。 私の幼少期の記憶の始まりは戦争。 空襲、艦砲射撃、防空壕、疎開生活、真っ暗な夜道を母に手を引かれ山林に避難した事。 そして今、東日本大震災、放射能汚染、今度のコロナ禍は當に戦争。 「ステイ・ホーム」は現代の防空壕。 傘寿を迎え新しい自分の景色を見つけたいと八十の手習いにピアノを始めました。 幼少の頃ふと耳にした美しいピアノ曲。 ピアノが楽しく弾けるように。

郵便名柄館賞

郵便名柄館賞

佐藤 優さん (6歳/奈良県)

わたしのなまえは「やさしい」というかんじをかいて、「ゆう」とよみます。
やさしいこになるようにと、おかあさんがつけてくれました。
でも、わたしにこのなまえをつけてくれたおかあさんは、おこってばっかりで、あまりやさしくありません。
おかあさんに、わたしのなまえをかしてあげるので、もっともっと、やさしいおかあさんになってほしいです。

わたしのなまえは「やさしい」というかんじをかいて、「ゆう」とよみます。 やさしいこになるようにと、おかあさんがつけてくれました。 でも、わたしにこのなまえをつけてくれたおかあさんは、おこってばかりで、あまりやさしくありません。 おかあさんに、わたしのなまえをかしてあげるので、もっともっとやさしいおかあさんになってほしいです。

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わたしのなまえは「やさしい」というかんじをかいて、「ゆう」とよみます。 やさしいこになるようにと、おかあさんがつけてくれました。 でも、わたしにこのなまえをつけてくれたおかあさんは、おこってばかりで、あまりやさしくありません。 おかあさんに、わたしのなまえをかしてあげるので、もっともっとやさしいおかあさんになってほしいです。
郵便名柄館賞

泥谷 桜さん (12歳/東京都)

変わり続ける世の中でも本は変わらない。
言葉たちが本を飛び出し、塀を越えて、県境を跨ぎ、
山を登り、海を渡って、国境を越え、
人種を飛び越え、壁を取り払い、世界を繋ぐ、
人を結ぶ 橋であってくれる。
本を閉じてもなお、変わらず、心の中の矢印であり続けてくれる本へ。
どうか今日も明日も明後日も遠い未来まで
本が人の心を結ぶ糸でありますように。

変わり続ける世の中でも本は変わらない。 言葉たちが本を飛び出し、塀を越えて、県境を跨ぎ、 山を登り、海を渡って、国境を越え、 人種を飛び越え、壁を取り払い、世界を繋ぐ、 人を結ぶ 橋であってくれる。 本を閉じてもなお、変わらず、心の中の矢印であり続けてくれる本へ。 どうか今日も明日も明後日も遠い未来まで 本が人の心を結ぶ糸でありますように。

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変わり続ける世の中でも本は変わらない。 言葉たちが本を飛び出し、塀を越えて、県境を跨ぎ、 山を登り、海を渡って、国境を越え、 人種を飛び越え、壁を取り払い、世界を繋ぐ、 人を結ぶ 橋であってくれる。 本を閉じてもなお、変わらず、心の中の矢印であり続けてくれる本へ。 どうか今日も明日も明後日も遠い未来まで 本が人の心を結ぶ糸でありますように。
郵便名柄館賞

田代弘子さん (51歳/兵庫県)

「ますくをとったせんせいのかおがみたいです」
教室にある七夕の笹飾りに、短冊がゆれていました。
それを見た子どもたちが言いました。
「いいおねがいやねえ」
「ぼくもみんなのかおをみてみたいなあ」
入学してから友だちの顔も知らなかったのです。
それから、一人の願いは、クラスの願いになりました。
どうか、みんなと素顔のままで過ごせますように。

「ますくをとったせんせいのかおがみたいです」 教室にある七夕の笹飾りに、短冊がゆれていました。 それを見た子どもたちが言いました。 「いいおねがいやねえ」 「ぼくもみんなのかおがみてみたいなあ」 入学してから友だちの顔も知らなかったのです。 それから、一人の願いは、クラスの願いになりました。 どうか、みんなと素顔のままで過ごせますように。

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「ますくをとったせんせいのかおがみたいです」 教室にある七夕の笹飾りに、短冊がゆれていました。 それを見た子どもたちが言いました。 「いいおねがいやねえ」 「ぼくもみんなのかおがみてみたいなあ」 入学してから友だちの顔も知らなかったのです。 それから、一人の願いは、クラスの願いになりました。 どうか、みんなと素顔のままで過ごせますように。
郵便名柄館賞

藤本結花さん (52歳/奈良県)

「先生、おこってるの?」
保育士をしている私の顔をのぞきこんで、子どもたちが聞いてくる。
「ううん。」と、とびきりの笑顔を向けると、安心したような子どもたち。
コロナ禍での保育
マスクに小さな壁を感じる日々
神様、一日も早く子どもたちと口をいっぱい開けて大笑いがしたいです。
目で笑いを作っている私
どんどん目尻のシワが深くなっていきます

「先生、おこってるの?」 保育士をしている私の顔をのぞきこんで、子どもたちが聞いてくる。 「ううん。」と、とびきりの笑顔を向けると、安心したような子どもたち。 コロナ禍での保育 マスクに小さな壁を感じる日々 神様、一日も早く子どもたちと口をいっぱい開けて大笑いがしたいです。 目で笑いを作っている私 どんどん目尻のシワが深くなっていきます

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「先生、おこってるの?」 保育士をしている私の顔をのぞきこんで、子どもたちが聞いてくる。 「ううん。」と、とびきりの笑顔を向けると、安心したような子どもたち。 コロナ禍での保育 マスクに小さな壁を感じる日々 神様、一日も早く子どもたちと口をいっぱい開けて大笑いがしたいです。 目で笑いを作っている私 どんどん目尻のシワが深くなっていきます
郵便名柄館賞

辰田香苗さん (57歳/大阪府)

90歳を過ぎた父。
体の自由が思うようにいかなくなっている。
夜中に何度もトイレに立つ父を心配して83歳の母が様子を見に行く。
母は最近耳がほとんど聞こえない。
父「心配かけてすまんなあ。」
母「え? 地震?」
二人の会話はかみ合わない。
障子を隔てた部屋で私はその声を聞きながらおかしくて笑いながらその後なぜか泣けてくる。
残り少ない父と母一緒の時間が二人にとって心暖かく感じる時間となりますように。

90歳を過ぎた父。 体の自由が思うようにいかなくなっている。 夜中に何度もトイレに立つ父を心配して83歳の母が様子を見に行く。 母は最近耳がほとんど聞こえない。 父「心配かけてすまんなあ。」 母「え? 地震?」 二人の会話はかみ合わない。 障子を隔てた部屋で私はその声を聞きながらおかしくて笑いながらその後なぜか泣けてくる。 残り少ない父と母 一緒の時間が二人にとって心暖かく感じる時間となりますように。

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90歳を過ぎた父。 体の自由が思うようにいかなくなっている。 夜中に何度もトイレに立つ父を心配して83歳の母が様子を見に行く。 母は最近耳がほとんど聞こえない。 父「心配かけてすまんなあ。」 母「え? 地震?」 二人の会話はかみ合わない。 障子を隔てた部屋で私はその声を聞きながらおかしくて笑いながらその後なぜか泣けてくる。 残り少ない父と母 一緒の時間が二人にとって心暖かく感じる時間となりますように。
郵便名柄館賞

新井 敦さん (65歳/東京都)

退職の日、静かに弁当を開ける。
最後の弁当だ。
幼稚園の頃は彩り豊かな可愛い弁当、
小学校の遠足では一番大切な持ち物だった。
高校時代には必ず早弁をしたっけ。
あの頃はアルミの弁当箱だったなあ。
そしてここ十年以上は、毎朝一緒に通勤電車に揺られてきた。
これまでの星の数ほどの弁当たちに、
亡き母に、妻に、心からありがとう。
どれも最高に美味かったよ。
今日はゆっくりゆっくり、
いつまでも食べ終わりませんように。

退職の日、静かに弁当を開ける。 最後の弁当だ。 幼稚園の頃は彩り豊かな可愛い弁当、 小学校の遠足では一番大切な持ち物だった。 高校時代には必ず早弁をしたっけ。 あの頃はアルミの弁当箱だったなあ。 そしてここ十年以上は、毎朝一緒に通勤電車に揺られてきた。 これまでの星の数ほどの弁当たちに、亡き母に、妻に、心からありがとう。 どれも最高に美味かったよ。 今日はゆっくりゆっくり、 いつまでも食べ終わりませんように。

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退職の日、静かに弁当を開ける。 最後の弁当だ。 幼稚園の頃は彩り豊かな可愛い弁当、 小学校の遠足では一番大切な持ち物だった。 高校時代には必ず早弁をしたっけ。 あの頃はアルミの弁当箱だったなあ。 そしてここ十年以上は、毎朝一緒に通勤電車に揺られてきた。 これまでの星の数ほどの弁当たちに、亡き母に、妻に、心からありがとう。 どれも最高に美味かったよ。 今日はゆっくりゆっくり、 いつまでも食べ終わりませんように。
郵便名柄館賞

加藤 順さん (71歳/東京都)

おふくろへ
認知症と診断されしばらくした頃、お気に入りのクマのぬいぐるみを突然マサオさんと呼んだ。
父は忠男で、周囲にマサオさんはいない。
誰だ? 
やがて我が子にはどちらさん?と首をかしげるのに、クマはマサオさんのままだった。
だから棺にも入れてやった。
気がつけば7回忌。
そろそろ教えてくれてもいいだろう、おふくろ。
誰なんだよ、マサオさんって。
今更、何を聞いても驚かないから、なっ!
     子供一同

おふくろへ 認知症と診断されてしばらくした頃、 お気に入りのクマのぬいぐるみを突然マサオさんと呼んだ。 父は忠男で、周囲にマサオさんはいない。 誰だ? やがて我が子にはどちらさん?と首をかしげるのに、 クマはマサオさんのままだった。 だから棺にも入れてやった。 気がつけば7回忌。 そろそろ教えてくれてもいいだろう、おふくろ。 誰なんだよ、マサオさんって。 今更、何を聞いても驚かないから、なっ! 子供一同

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おふくろへ 認知症と診断されてしばらくした頃、 お気に入りのクマのぬいぐるみを突然マサオさんと呼んだ。 父は忠男で、周囲にマサオさんはいない。 誰だ? やがて我が子にはどちらさん?と首をかしげるのに、 クマはマサオさんのままだった。 だから棺にも入れてやった。 気がつけば7回忌。 そろそろ教えてくれてもいいだろう、おふくろ。 誰なんだよ、マサオさんって。 今更、何を聞いても驚かないから、なっ! 子供一同
郵便名柄館賞

絹川德成さん (76歳/京都府)

「もしもし~ことみですけれど~」
留守電に残された連れ合いの唯一の声。
消えないように大切に大事に保管している。
病いが見つかり四ヶ月で逝ってしまった。
それはないよね ことみ。
「もしもし~ことみですけれど」
「あいよ どうした」
と返事をしたい。

「もしもし~ことみですけれど~」 留守電に残された連れ合いの唯一の声。 消さないように大切に大事に保管している。 病いが見つかり四ヶ月で逝ってしまった。 それはないよね、ことみ。 「もしもし~ことみですけれど」 「あいよ どうした」 と返事をしたい。

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「もしもし~ことみですけれど~」 留守電に残された連れ合いの唯一の声。 消さないように大切に大事に保管している。 病いが見つかり四ヶ月で逝ってしまった。 それはないよね、ことみ。 「もしもし~ことみですけれど」 「あいよ どうした」 と返事をしたい。
郵便名柄館賞

徳地昭治さん (79歳/京都府)

前略。
廃業の通知を拝受しました。
丁寧な文面で、この間30年に亘るご商売の経緯が良く解りました。
ご苦労様でした。
実は、過日、偶然にもあなた様がこの手紙を投函される姿を目にしました。
寒い朝でした。
物言わぬ郵便ポストに向かって、深く長いお辞儀をしておられましたね!
長い人生の旅路には、折り返しの途中駅が用意されています。
わたしもあなた様と同様に、心に乗換えキップを用意して次の駅に向かう思案を重ねているところです。
共々、体に気をつけて…
     草々

前略。 廃業の通知を拝受しました。 丁寧な文面で、この間30年に亘るご商売の経緯が良く解りました。 ご苦労様でした。 実は、過日、偶然にもあなた様がこの手紙を投函される姿を目にしました。 寒い朝でした。 物言わぬ郵便ポストに向かって、深く長いお辞儀をしておられましたね! 長い人生の旅路には、折り返しの途中駅が用意されています。 わたしもあなた様と同様に、心に乗換えキップを用意して次の駅に向かう思案を重ねているところです。 共々、体に気をつけて…… 草々

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前略。 廃業の通知を拝受しました。 丁寧な文面で、この間30年に亘るご商売の経緯が良く解りました。 ご苦労様でした。 実は、過日、偶然にもあなた様がこの手紙を投函される姿を目にしました。 寒い朝でした。 物言わぬ郵便ポストに向かって、深く長いお辞儀をしておられましたね! 長い人生の旅路には、折り返しの途中駅が用意されています。 わたしもあなた様と同様に、心に乗換えキップを用意して次の駅に向かう思案を重ねているところです。 共々、体に気をつけて…… 草々
郵便名柄館賞

田口公子さん (91歳/広島県)

言葉少くも優しかった兄 二十になると赤紙、レイテ島に渡る。
消息なく一年、終戦となる。
友は復員するも兄は戦死。
父は半狂乱。
知人頼って東奔西走。
二年半後に正式戦死公報。
落ちつき戻した頃、兄の部屋より遺書。
恋文
「眞心こもる千人針、巻きて雄々しく我は征(ゆ)く。」
「身はたとえ南の土に朽ちぬとも魂永遠(とわ)に君のもと」
恋人の生家尋ね御礼。
以後父は位牌に手を合す日々で九十八才大往生。
兄達の天国での再会願う。
戦争さようなら

言葉少くも優しかった兄 二十になると赤紙、レイテ島に渡る。 消息なく一年、終戦となる。 友は復員するも兄は戦死。 父は半狂乱。 知人頼って東奔西走。 二年半後に正式戦死公報。 落ちつき戻した頃、兄の部屋より遺書。 恋文 「眞心こもる千人針、巻きて雄々しく我は征(ゆ)く。」 「身はたとえ南の土に朽ちぬとも魂永遠(とわ)に君のもと」 恋人の生家訪ね御礼。 以後父は位牌に手を合す日々で九十八才大往生。 兄達の天国での再会願う。 戦争さようなら

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言葉少くも優しかった兄 二十になると赤紙、レイテ島に渡る。 消息なく一年、終戦となる。 友は復員するも兄は戦死。 父は半狂乱。 知人頼って東奔西走。 二年半後に正式戦死公報。 落ちつき戻した頃、兄の部屋より遺書。 恋文 「眞心こもる千人針、巻きて雄々しく我は征(ゆ)く。」 「身はたとえ南の土に朽ちぬとも魂永遠(とわ)に君のもと」 恋人の生家訪ね御礼。 以後父は位牌に手を合す日々で九十八才大往生。 兄達の天国での再会願う。 戦争さようなら

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